家出人や失踪人を探してもらう、と思った場合、真っ先に思いつくのが警察の方々です。家出人届けを出し捜索してもらいますが、実態としてはどうなのか?というと捜査出来るものと出来ないものがあります。
例えば事件性が無かったり、命の危険が無いような家出や失踪であれば、家出届けは受理しますが、捜索までは人出が足りない為に出来ません(そのような方の捜索を探偵社が受け持っている形になります)。届出された情報は警察のデータベースに入力され、もし本人が補導や職務質問などで引っかかった場合に発見されることなどがあります。
では事件性があったり、命の危険がある場合にはどのようにするのか?自分でも出来る方法はないのか?そういった点を警察OBの目線で解説していきます。
1.行方不明や失踪人の捜索願には2種類ある
1−1.家出や失踪に事件性のないもの(一般家出人)
警察署に届ける家出人や失踪人の捜索願には2種類あり、積極的な捜索活動をする「特異家出人」と、それには該当しない「一般家出人」があります。
以下が一般家出人に該当するものとなります。
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迷い児(人)、自救能力のない子供、老人・痴ほう症の患者・精神障害者・身体障害者
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未成年者の家出(家族関係・学校関係・友人関係・恋愛関係が原因)
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成年者の家出(家族関係・夫婦関係・会社(仕事)関係・金銭関係・恋愛関係が原因)
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自殺の恐れがある家出人(特異家出人中の事件性がないと判断されるもの)
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希死念慮のある精神障碍者のほか、厭世的な状況に陥っている家出人
1−2.事件性が窺える行方不明者(特異家出人)
特異家出人は、事件性の高いものや、命の危険があり緊急性があるものが該当します。特異家出人として受理された場合、警察は積極的に捜査を実施することになります。
特異家出人に該当するのは以下の通りとなります。
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幼児、年少者の行方不明(警察等への届け出後も、通常考えられる時間内に発見されないもの)
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DV・ストーカー等の被害を受けていて、関係者がその所在を把握していないもの
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家出等の理由がなく、ある日忽然と消息を絶ったもの
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親族、友人、勤務先関係者等に連絡がない、連絡が取れない
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居住の実態をそのまま残している
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何らかのトラブルに巻き込まれているとの情報がある
2.警察での家出人捜索願の受理と活動実態
2−1.自己の意思で家出をしたと判断されるもの
警察は事件事故(生命、身体に危難が及ぶもの)に起因するものでないと判断すれば、届出受理後は関係者から提供された、当該家出人に関する情報を全国の警察に手配し、通常の警察活動の範囲内での捜索活動を行います。
2−2.特異家出人に関する捜索状況(自殺の恐れがある家出人の捜索も準じる)
最も大切なことは、家族友人、勤務先関係者からの聴取、近隣住民からの聞き込みを、最大漏らさず徹底して行うことです。
2−3.警察が行う具体的な捜査項目
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戸籍・戸籍の附表・住民票の確認(親族関係も出来るだけ可能な範囲)
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携帯(固定)電話の架電情報(多くの人的情報が得られる・通話相手の人定確認)料金支払い状況
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車両の所有確認(Nヒットの情報)
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銀行口座の取引状況
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ガス、電気、水道等の使用量の確認(全国の電気・ガス・水道事業所に対する契約者の照会)
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健康保険証の使用状況(可能な場合)
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居住地・勤務地・最終確認地付近の聞き込み、ビデオの確認
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配達業者、引っ越し業者からの聞き込み
3.一般人として行える行方不明人の捜索とは
もし、自分の身内が突然姿を消した場合には、警察へのすみやかな届出とともに、自分でも行える捜索があります。但し、その原因・背景などによって捜索の方向性・方法が異なるものと判断されますが、いずれにしても、基本的なものとしては以下の通りです。
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戸籍及び戸籍の附表を定期的に取り寄せて、常に確認をしておく
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対象者の直近の写真を確保する
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携帯電話の確認(着信拒否等の事実確認) 通話記録に関しては、電話会社に閲覧入手等の可否に関して問い合わせを行うこと
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取引銀行の確認
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受信した過去の診療機関の情報(持病の有無等)
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本人名義で登記をしているような不動産等があれば、定期的に登記簿を請求して確認する
3−1.同行者がいる場合(異性関係が絡むもの)
相手の情報を入手する(出来れば写真を入手する)勤務先など。一人よりも二人分の情報が得られるので情報量としては、2倍となります。
3−2.具体的な捜索方法として
1)対象者の基本情報を最大限入手する
親族、友人、同僚、付近住民、同窓生等、本人の生い立ち、生活状況(活動範囲・生活範囲)等、基本情報を確実に入手すること(同窓会名簿などの入手)
通常公権力を行使しなければ接触、情報収集は不可能と思われる関係先であっても、諦めることなく訪れて、情報は入手出来なくとも、違う角度からの調査方法などのヒントを得られることがあります。
2)稼働先の調査
働かなければ生きていけないので、指名手配されている犯人でも、名を変え身をひそめながらでも稼いでいかなければなりません。
それは寮付の会社であり、飯場であり、本名を必ずしも必要としない水商売(風俗関係)であり、犯罪者の場合多くはこのようなところに潜伏している場合が多く、捜索時の基本的な場所となります(金銭的な問題を多く抱えている対象者にあっては、その確率は高い)
4.捜索活動を行う上で理解しておくべきこと
民間で行う所在不明者の捜索に関しては、例えば弁護士法23条の照会により、どの程度の情報が入手できるのか、無駄ではあっても照会する、関係官署に問い合わせるなど、正式なルートでの資料の入手を行うとともに、秘匿による録画・録音等、その目的が正当化される範囲の、踏み込んだ活動が必要と判断されます。
人を探すという状況の中にあって、何かを頼るとすれば、身近な人の
- 心当たり
- 何となく気がかりである
などといった、関係者や身近な人の思いを大勢にすることです。常に近道のない作業であり、少ない情報を愚直に追いかける以外にないと思われます。
不明者の捜索は、まさに経験の積み重ねによって、臭いを嗅ぎつける完成を磨くことにあります。
まとめ
もし身内の方で家出、失踪者が出た場合には直ちに警察署へ捜索願いを出しましょう。これまで述べたように命の危険性が低かったり事件性が無かったり成人していた場合には特異家出人として受理されることはありませんので、自分でも捜索していく必要があります。
但し、自分で捜索するにしても範囲も限られる上に捜索するスピードも遅く発見に至ることは難しいでしょう。やはり警察署と平行して探偵社への依頼も検討してみてください。
探偵は人探しのスペシャリストなので、独自のノウハウを持っているので、警察とはまた違った部分の捜索をカバーすることが出来ます。