探偵社や興信所が家出人・失踪人捜索の依頼を受け、その結果無事に発見することが出来れば、無事に帰宅したという安堵感とこれまでの苦労が報われたという喜びの気持ちでいっぱいになります。家出人・失踪人の家族なら尚更で、帰宅すればひとまずひと段落したという気持ちになります。
しかし、家出人や失踪人の捜索は探し出しただけでは終わりではありません。むしろ、発見後の家出人・失踪人への接し方や家出の原因を突き止めて再発防止に全力を注がなければいけません。自発的に帰ってきたのならまだしも、探偵社によって発見されている以上、家出人・失踪人の中にある自発的に家出や失踪を行った原因、理由、精神状態をきっちりと把握して、問題を根本から解決する必要があるのです。
実際には発見した後の方がやらなければいけないことが沢山あるのですが、今回は、家出人や失踪人を無事発見した後の、アフターフォローの方法とその理由を解説していきます。
1.家出人・失踪人を発見した後は家出の原因を判明させよう
家出人・失踪人を発見した後はまず、何故家出をするという考え方に至ったのかを判明させなければなりません。家出の原因となった根本的な問題を解決しなければ、無事帰宅させることが出来ても、また家出をする可能性があるからです。
家出問題はその原因を絶つことで初めて解決したと言えます。
1−1.原因を解決することなく再び家出・失踪をした場合は、再発見が非常に困難となる
家出・失踪の原因を突き止めず、再び家出人が家出をしてしまった場合、発見された家出人・失踪人はなぜ発見されたのか?どのような情報から見つかったのか?を考えます。
その為、二回目以降の家出は探し出された事に対して対策することが多く、今回こそは発見されないように、前回発見に至った痕跡を一切残さず家出をしてしまうことになり、再度見つけ出す事が非常に困難になってしまいます。
2.家出人・失踪人を発見した後の話し合い方法
2−1.探偵社・専門カウンセラーへの相談や、精神科への通院も検討する
家出人・失踪人が再び家出や失踪をすることを未然に防ぐための方法や対策は色々ありますが、まずは家出人と真正面からじっくりと話し合うことが必要です。家出人と強く向き合わないと家出の根本となる原因を突き止めることは出来ず、また問題を解決することが出来ません。
但し、家出人と話し合う際には決して感情的にならない事が大切です。感情的になってしまうと、原因が分からなったり家出人が原因を言わなかったりします。身内だけで話し合いをするとどうしても感情的になってしまう恐れがあるため、探偵社に依頼した場合には専門のカウンセラー等、客観的に判断できる人達に間に入ってもらうと、問題の解決がスムーズに行うことが出来たりします。
そこからは更に、精神科への通院や症状によっては投薬などの対応をお願いする必要があると思われます。
2−2.家出・失踪状況を正確に把握して話し合う
家出の原因は正確に把握しておかなければなりません。家出原因にも「家庭環境」「友人関係」「学校関係」「職場関係」「恋愛関係」「経済問題」「身体的・精神的・性格的」「コンプレックス」など様々な問題があります。
家出のケースによっては、それらの原因が複数・複雑に絡み合っている場合があります。家出人はその問題に対し、自ら解決するのが困難と判断したり、問題から逃げる為に家出を決意するのです。その問題というのは、周囲から見ればたいした問題に思えないようなものかもしれません。しかし、家出人にとっては家出を選択するほどの大きな原因というのを忘れないでください。
2−3.家出・失踪の原因を判明させて話し合う
探した側は以上の事を踏まえたうえで、家出人の言葉に真剣に耳を傾ける必要があります。そうすることにより家出人と探し出す側との認識や考え方などの違いが理解出来たりします。
探した側は正確な家出状況を把握することで、家出人の問題に対して客観的に解決方法を考えられることもありますので、正確に家出原因を把握することを心がけることが大切です。
異性関係などの人間関係や借金などの金銭問題など家出原因がはっきり確認できる場合は、探した側も家出原因は容易に分かりますが、家出原因が判明せず、家出人に尋ねても中々答えてくれないというケースも多く見られます。
探した側は家出した原因が何なのかを聞き出したい気持ちや、現状から逃げ出した家出人を責めたい気持ちから家出人に対して答えを急かしたりしまいがちですが、そのような対応は家出人を精神的に追い詰めてしまうことになり、良い結果が得られない場合が殆どですので聞き出したいという気持ちをぐっと抑える事が大切です。
2−4.家出人・失踪人に対して聞き入れる環境を作り出して話し合う
家出を実行するには、それまでの葛藤や罪悪感などから肉体的にも精神的にも大変なプレッシャーがかかります。発見されたにしても自主的に帰宅しても家出人は家出をしてしまったという感情が精神的ストレスとなって重くのしかかります。そのため、この感情を少しでも和らげるのが迎える側の役目ですので、家出人を暖かく迎え入れる環境をつくりましょう。
聞き入れる環境が整ったら、家出人とじっくり根気よく向き合い、聞き出すことが必要となりますが、必ず探した側の判断や意見を押し付けるような事はいけません。
家出人が家出の原因を話す時は家出人の意思が尊重されていると判断したときだけです。家出人に対して意見を押し付けてしまうと、嘘の原因を言ったりする事があります。家出人が話したくなるまではやる気持ちを抑えましょう。
3.家出人・失踪人を発見した後の原因ごとの解決方法
3−1.家出原因の種類
家出の原因は無数にあり、また、その原因を知っているのは家出人だけです。しかし、本人はその問題を解決するだけの気力や体力も当然残っておりません。
そもそも家出の原因には、大きく分けて2つあります。1つめは現在の生活状況の苦しさから逃げ出すために家出を決意するケース。2つめは目的を達成するために家出を決意するケースです。どちらのケースも家出原因を解決する事は難しいと考えられます。
3−2.家出原因① 現在の生活状況の苦しさから逃げ出すために家出を決意するケースの場合
このケースの場合、その多くが家出人自身の精神力の弱さや問題解決能力の低さ、計画性の無さが根柢にあることが殆どです。
特に、以前に比べて精神力や問題解決能力が著しく低下していた場合、潜在する精神病を疑う必要もあります。そのような場合以外だと精神的未熟さが家出原因の場合が多く、カウンセリング等で解消することがあります。
しかしこれらの原因は幼少期からの環境や経験、親や先生などの教育によるものが大きく、教わってもすぐには身に付くものではありません。
このような家出人の場合は幼少の頃から、コミュニケーションを取るのが苦手であったり、自身の殻に閉じこもったりするなど、現実逃避を繰り返すなど何らかの兆候があるはずです。
このような家出人が抱える問題を解決するのは、大変な労力と時間を伴うと思いますが、探し出した側は今まで以上にコミュニケーションをとり、発生した問題に対して一緒になって取り組むことにより、問題が解決することも多く見られます。
3−3.家出原因② 目的を達成するするために家出を決意するケースの場合
このケースの場合、家出人と捜した側とで意見が対立する事になるでしょう。
例えば、家業を継がなければならない家出人が希望する職種に就くため家を出るなど、問題の糸口がつかめず、話が平行線を辿ってしまうケースも多くあります。場合によっては家出人の決意が固く、絶縁となってしまうこともあります。
このケースだと家出人が帰宅してその目的を達成することは可能でしょうし、帰宅しないまでも、捜す側との連絡は常に取れる環境を整えておくなどの条件を設ければ、解決策が見出し易いと言えるでしょう。
まとめ
以上の事から、家出人を発見した後の対応が重要だと理解できたと思います。家出原因の解決とは家出人とのコミュニケーションを常日頃から取ることが大切になります。家出をする背景として捜した側も日常に追われていて、家出人とのコミュニケーションが不足していたことが多いです。そのため、家出する前に悩みや意見を言い出せない状況だったパターンが多く、家出を予防できたと思われる場合が殆どです。
こうした状態が家出という形になって現れたのならば、捜した側もこの機会をチャンスととらえ、今後のコミュニケーションを見直してみると前以上の関係になることでしょう。