大事な人が行方不明になったり、家出をしたりすると警察に捜索願を出して探し出してもらおうと考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、警察は通常家出人を積極的に捜索する事は殆どありません。

今回は家出人捜索についての基礎知識を解説していきますので、捜索活動の全般的な理解をしていただければと思います。

1.そもそも”捜索願”とは

そもそも捜索願とは何でしょうか。また、どのような人が出せるのでしょうか。それぞれ解説します。

警察では居住地を離れて所在が不明になっている人の事を行方不明者と扱っています。そして捜索願が届け出された場合は、直ぐさま捜索をする必要性が有るか否かを判断した後、捜索を行います。

家出以外でも迷子や誘拐など本人の所在が分からないような場合は全て捜索願を出す事が出来ます。

2.捜索願を出せる人は

本人と近い関係の間柄しか基本的に捜索願は出せません。これは、誰でも出せるようにするとストーカーや犯罪行為を助長してしまう事になるからです。

親権者や親族、配偶者など家族やそれに近いものは問答無用で捜索願を出す事が出来ます。他には、恋人や同居人など本人と非常に親しい関係である者も捜索願を出せます。

後は、本人の福祉に関する事務に従事する者や雇用主も捜索願を出せます。

近しい人で行方不明になった場合は、警察に相談をしに行くと良いでしょう。

3.捜索願はどこに出せばいい

原則的に捜索願は所轄の警察署に届け出る必要があります。

保護者や両親が管轄する警察署、本人が行方不明になった場所の警察署、本人が居住していた警察署のいずれかにて捜索願の手続きが行えます。

4.捜索願手続きの際に必要な情報

捜索願を届け出る際に必要な情報が沢山あります。本人が遠い場所で離れて生活していた場合や最近疎遠になりがちだった場合など本人の情報に乏しいまま捜索願の手続きを行うと二度手間になる場合があります。

そのような事態を防ぐ為に、どのような事を知っておく必要があるか、どのような事を聞かれるのかを説明します。

まず本人の氏名・生年月日・居住地・勤め先の住所など身の回りの事です。離れた場所で生活している場合やあまり話す機会が無いと、居住地や職業が分からない事がありますので、調べておきましょう。

次は本人を探すうえでの特徴です。本人の写真が必要で顔と全身の写真や複数の角度からの写真があれば良いでしょう。

身長体重・血液型といった基本的な事から、顔や腕などのホクロやアザといった身体的特徴を聞かれます。精神病やうつ病、薬物使用の有無も同様です。他にも歩き方や佇まいに特徴があれば伝えましょう。

三つ目は失踪時についてです。失踪時の服装や所持品・日時などです。また、失踪の原因や本人がよく行く場所についても聞かれるので予めピックアップしておきましょう。

その他、気になる事や重要だと思う事は聞かれなくても伝えましょう。

5.警察は捜索願を受理しても捜査をしない場合がある

冒頭でも触れた、行方不明になったので捜索願を出して警察に探して貰おうと考えている人が多いと思います。しかし、通常の家出だと警察は積極的に捜索してくれません。

家出以外でも事件性が無いような行方不明の場合は直ぐさま動いてくれません。それは警察には原則、民事不介入というルールがあるからです。警察が力を出せるのは誘拐や拉致などの事件や事件性が高い場合のみです。

捜索願を受理しながら、事件性があるのかどうかを警察は判断していきます。そして、行方不明者を一般家出人と特異家出人のどちらかに分類するのです。

こういった事をする理由は、行方不明者の数が多く全ての行方不明者の捜索に当たると優先順位が高い事件に手が回らなくなるからです。

(1)一般家出人

捜索が行われないケースです。通常の家出以外でも自らの意思で失踪した場合、例えば夜逃げや駆け落ちなども一般家出人に含まれます。

積極的な捜査は行われませんが、捜索願を受理した際の情報を全国の警察ネットワークで共有する為、パトロールや補導など何らかの形で家出人と接触した場合は直ぐに行方不明者と分かるようになっています。

(2)特異家出人

事件事故に巻き込まれた可能性が高い、生命の危機がある、本人に家出や失踪する意思が無いようなケースだと特異家出人に分類され、警察は積極的に捜査を行います。

行方不明者が成人で特異家出人に分類された場合で発見された時でも、本人に帰る意思が無い場合は強制的に帰らせたり拘束する事は出来ません。

しかし、警察に捜索願を届け出るする際に生存連絡のお願いをしておくことで連絡が入るようになります。

(3)特異家出人に該当する条件

凶悪犯被害者…他者による犯罪により、生命の危険が生じている恐れがある、または後々その恐れがある者
福祉犯被害者…本人の性格や行や家庭環境などの事情により、少年の福祉を害する危険がある者
事故遭遇者…行方不明前後の行動や事情により、生命に危険を及ぼす事故に遭遇している者
自殺企図者…異性関係や家庭環境や経済環境などが原因で自殺の恐れがある者
自傷他害の恐れがある者…統合失調症・精神作用物質の依存症などの精神障害の状態の者。銃砲刀剣類、火薬、毒物などの危険物を携帯し、自傷・他傷の危険性がある者
自救無能力者…13歳以下の子供や高齢者など、本人だけでは生活が困難だと考えられる者

(4)行方不明者本人が探してほしくない場合

家出人自ら警察に探さないでほしいとお願いをしている場合も警察は探す事が出来ません。どのようなケースかというと、DVや虐待から逃れている時などです。

6.早期発見出来ないと危険

通常の家出は事件事故に比べると早期発見の可能性が高いです。というのも、家出人本人が本気で家出を試みるケースが割合低いからです。

大半の家出人は日常生活に嫌気がさしたり、何かアクシデントが発生して気まずい為に家を出たりします。つまり根本から嫌になって逃げだしたわけではないのです。

冷静さを欠いて家出をした後でも冷静になれば家に帰るという気持ちが出てきます。計画的な家出の場合もこまめに連絡を取る事で、帰宅したいという気持ちが出て来るでしょう。

この場合、本人を責めたり焦らすような言葉遣いは止めましょう。

しかし、警察署のデータによると家出をしてから一週間をすぎると発見できる可能性が非常に低くなっています。長期間の家出放置は犯罪に巻き込まれている可能性がある為、早期発見しないと命に関わります。

まとめ

捜索願を警察に出しても直ぐには動いてもらえないケースが大半です。警察に伝える際は正確に伝えましょう。直ぐに動いてもらおうと嘘の情報を伝えると最悪犯罪になる場合があります。

また、自身の暴力など非がある場合でも正直に話しましょう。

直ぐさま発見したい、捜査を開始して欲しいと考える場合は探偵に依頼する事も選択支に加えましょう。