愛する家族や親族が突然姿を消してしまった場合、どのように対応すれば良いでしょうか?ひとまず警察に相談するべきではありますが、実際のところ、それによって警察が大規模な捜索をしてくれる訳ではありません。成人していたり、命の危険がないと判断されてしまえば尚更です。だからこそ探偵や興信所が発見するべく調査する存在となります。

今回は、探偵や興信所が家出人・失踪人調査を行う場合の内容を説明していきます。

1.家出人、失踪人が発生している現状とは?

家出人

警察庁生活安全局生活安全企画課が発表する「平成25年中における行方不明者の状況」によれば、平成25年に警察へ家出人捜索願の届け出は年間約83,948名でそのうち男性は53,916名女性は30,032名でした。あくまでも警察に届け出が出された数であり、実際にはもっと数多くの不明、失踪者が存在していると言われています。家庭環境などや人付き合いの希薄さなどによって届け出数が減少しているだけで、大小合わせると家出の数は確実に増加していると考えられます。

失業、借金、就職、病気、家庭、学校、進学、宗教、犯罪、DV、育児放棄、夫婦不仲、親からのプレッシャーなどの原因から家出に繋がるものと考えられ、軽い気持ちの短期間な家出から、全く痕跡を残さない長期に渡る完全失踪まで幅広くあります。

2.家出人、失踪人が発見される主な滞在先とは?

滞在先

これまでの調査によって判明した家出人・失踪人が滞在していた場所としては

  • インターネットカフェ
  • マンガ喫茶
  • ビジネスホテル
  • カプセルホテル
  • ウィークリー
  • マンスリーマンション
  • ゲストハウス
  • 友人宅
  • ネットで知り合った他人宅
  • 車中
  • 野宿

など幅広く考えられます。
年齢、性別、交友関係、学校生活、家庭環境、職場環境、異性との交際、生い立ち、家出をした状況・時期などによっても家出後の行動が変わって来ます。

家出・失踪をするには必ず”原因と理由″があります。それは他人には全く理解できないものであっても、本人にとっては家出に値する十分な理由であります。時間が経てば経つほど発見が困難になって来ます。

家出・失踪人の捜索は『家出の原因』『家出に繋がった背景』をいかに早くしっかり把握することから始まります。

参考:家出や失踪が起こる7つの原因とその分析内容を解説

3.家出・失踪の要因と理由

クエスチョン

警察庁が公開している捜索願が出されている家出人の原因統計によると、家出の原因は主に家庭関係です。

10歳未満の場合、家庭関係が全体に占める割合は87%になっています。一方、10歳~19歳の場合は、家庭関係が58%、学業関係が19%、異性関係が15%になっています。成人の家出理由の上位は、家庭関係が21%、就業関係が13%、疾病関係が11%と続きます。数字から見ても分かるように、未成年の場合は家庭環境が家出の原因と言えるでしょう。

実際の調査を通してみても、家出の原因が家庭にあるケースが非常に多いです。進学に関して親からの過度な期待のプレッシャーがあった、就職に対してうるさく言われていた、異性との付き合いを反対された、嫁と姑の間に入り疲れてしまった、兄弟間でのコンプレックスを抱えていた、などがあります。

参考:家出・失踪する原因を年齢別に詳しく解説

4.探偵が家出人・失踪人捜索を行うことの意味

特異家出人を除けば警察は事務的な受理をするだけで具体的な捜索を行わないのが現実です。帰りを待つ家族にしてみれば、たかが1日であっても想像を絶するほど長い時間に感じるはずです。

事件に巻き込まれていないか?自暴自棄になり犯罪を起こしていないか?自殺をしていないか?薬物に手を染めていないか?時間が経てば経つほど不安が増していきます。また、それらの事が現実にならないとも言い切れません。

探偵に調査を依頼する人は家出人の身を案じている家族が殆どです。発見できたとしても居住先を依頼者に知られたくないという家出人もいます。無事に生きているという事が分かっただけで安心をする依頼者もいます。依頼者の精神的不安、心配を少しでも早く解消する事が家出人捜索の大きな社会的役割になります。

参考:探偵や警察による家出人・失踪人の捜索の流れと方法

5.家出人・失踪人調査の実態

実態

やすい探偵興信所では年間200件ほどの所在・行方調査依頼があります。案件も実に様々で、15歳の少女から82歳のご老人まで、北海道・静岡・石川・長野・大阪・兵庫・佐賀など、日本全国に渡っています。

割り出したデータを元に行う調査、データ自体を割り出す調査、ビラから情報を聞き出す調査、パソコンなどの所有物から割り出す調査、友人に協力してもらい誘い出す調査、など案件に合わせた調査を行っております。

案件数が集中する時期があり、いかに早く解決できるかが調査員の負担を軽減することにも繋がってきます。常に発見率80%を目指しています。もちろん100%に近づける努力を怠ってはなりません。それは専門分野として特化した環境があるからこそ可能であり可能にしなければならない事だと思っています。

依頼者にとってみれば、調査過程がボロボロであったとしても発見できれば100ですが、発見に至らなければどんなに調査過程が完璧であったとしても0です。0であったとしてもご理解を頂ける様な調査内容を常に心掛けておく必要があります。

6.家出人・失踪人の調査には2種類ある

大きく分けて2つのパターンがあります。

①所在調査(データ調査)

住民票の移動記録、雇用保険の記録、郵便物の転送記録、戸籍の記録、自動車のナンバーと車体番号からの車検登録の記録、固定電話番号・携帯電話番号からの登録記録などから所在地を割り出す調査。

<特徴>

  • 依頼者と対象者が長年疎遠になっているケースが多く、発見しても対象者の同意が無ければ依頼者に情報を伝える事ができない。
  • 借金から逃げるため、会社の金銭を使い込んだ、勝手に養子縁組をして他人の戸籍に入った、愛人と逃亡している、など特殊なケースや犯罪に発展するケースもあり複雑化しているため、捜されている事を拒絶したり、捜している事がバレてしまったら逃げられる可能性が高い。
  • 依頼者の許可、上司の判断がない限りは、対象者への直接の取材は厳禁である。よって確保する事を目的とはしない。
  • どの様な展開に発展するか予測が立てられない場合が多く、身の危険があるケースも考えておく。
  • 依頼者の報告の際、具体的名調査方法を明言することはしない。

②行方調査(自らの意思で失踪している)

ビラを持っての聞き込み、依頼者・友人・会社関係者への取材、家宅調査・パソコンなどから情報入手、などの方法で得た情報を一つ一つ収集し分析をして対象者の行動をプロファイリングし、居住先の特定に繋げる調査。

<特徴>

  • 居場所に繋がる情報が残っている可能性が高い。
  • 発見した場合、確保して依頼者に引き渡す段取りを取るケースが多い。
  • 聞きこみや取材、協力者から発見に至るケースが多い。
  • 地道な調査、忍耐を要する調査が多い。
  • 不特定多数へのビラ配布などを行うため、闇雲といった感に陥りやすく、調査員自身が辛く感じる事が多くなる。
    →闇雲にするもしないもその調査員次第である

7.家出人・失踪人調査の流れ

順番

①相談~調査依頼

依頼者より相談部へ行方不明者の相談を受け、行方不明者の状況を確認後、契約へと繋がる。
この段階で持ち帰り後日返事を頂くケースもある。必ずしも全てが契約へと繋がるとは限らない。

②契約

稼働日数、調査方針、行方不明者の情報収集等の綿密な打ち合わせが行われ、契約書が交わされます。具体的な初動調査の方法なども説明していきます。

③家宅調査

この家宅調査をスピーディーに行うことで依頼者の不安を和らげる第一歩となります。契約締結後、直ちに家宅調査を行います。契約当日が原則で、深夜であっても依頼者の許可があれば行います。

実際に調査を行う調査員自身が対象者の生活スペースへ上がり情報収集を行い、依頼者とコミュニケーションをしっかりと取り依頼者の意向を取り入れた調査方法を立てることが大切です。その内容については指示書に情報を素早く公開し、部内で情報を共有します。この家宅調査で両親や兄弟などへの取材を行い、家出人の部屋からどの様な情報を得るかが今後の調査に大きな影響を与えます。

データ調査、家出して数十年経つケースなどは家宅調査を行わないケースもあります。その場合は依頼者への取材を入念に行っていきます。

④調査方針とプランの決定

家宅調査などで事前に得た情報に基づき家出人のプロファイリングを行い、人物像を固めていきます。取材先、捜索範囲等などの調査方針、具体的な方法の打ち合わせを行っていきます。

⑤調査

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調査方針に基づき、出来るだけ早く調査に入る事が重要です。家宅と同様スピーディーに調査に入ることで依頼者の不安を和らげることにもなります。進行する上で変化していく調査方針は常に話し合って行き、情報共有を欠かさないようにします。

データ調査などから居住先が判明した場合は事前調査を行う場合もあります。長期に渡る調査の場合は依頼者に中間報告を挟む場合もあります。

参考:探偵が行う家出人・失踪人捜索の取材・聞き込み調査を全貌公開

⑥発見

状況を的確に判断し、どの様なタイミングで確保して依頼者へ引き渡す事が最良かを十分に協議します。引き渡す状況が再発防止へ繋がるので慎重に引渡しの判断を行います。

参考:探偵が実際に家出人・失踪人を発見した9の成功事例

⑦報告

相談

調査内容、捜索範囲、調査上で仕入れた情報を基に報告書を作成し依頼者へ報告を行います。仮に発見に至らなかった場合には、どの様な調査を実施していたかを詳しく説明します。

⑧依頼者及び対象者へのケア、およびカウンセリング

報告が終了しても家庭内での再発を防ぐ為、依頼者及び家出人とのコミュニケーションはしっかり取り共に今後の行方を話し合っておきます。

特に家出の原因が家庭にある場合は、依頼者へもカウンセリングを行う必要があります。

参考:【再発防止】家出人・失踪人を発見したあと大切なアフターフォローとは?

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まとめ

家出人・失踪人を発見する為には、数多くの経験とノウハウが存在しています。探偵や興信所は独自のノウハウを蓄積してきていることから、警察よりも早期に発見に至ることもあるくらいです。

上手く活用し、大切な家族を早期に発見されることを願っています。