親族や家族に家出人が出た場合、警察に届出をするはずです。しかし、行方不明者についてあなたはどれだけ知っていますか?

おそらく殆どの人が家出人が出た時、初めて調べると思います。行方不明者届を出す方法や出すときの注意点、出した後取るべき行動など分からないかと思います。

そこで今回は、行方不明者届。そして、失踪届との違いについて分かりやすく解説していこうかと思います。

行方不明者届とは

平成22年4月1日から「行方不明者発見活動に関する規則」が施行され、行方不明者発見活動に係る用語の整理等が行われ「家出人」は「行方不明者」、「捜索願」は「行方不明者届」に変更されました。

警察では、本人の意思もしくは保護者などの承諾を受けずに居住地を離れ、所在が明らかでない人の事を行方不明者として扱っています。

行方不明者届を出せる人

行方不明者届は誰でも出す事ができるわけではありません。どのような人が出すことが出来るのでしょうか。

まず、配偶者や親権者、親族や監護人などは出す事ができます。他、同居人や雇用関係など社会生活において密接な関係を有する者。行方不明者の福祉に関する事務に従事する者などです。

しかし、同居人や雇用関係など社会生活において密接な関係を有する者のみ、その関係期間によっては行方不明者届が受理されない場合がありますので、最寄りの警察署までお問い合わせください。

行方不明者届はどこで出せるのか

さて、行方不明者届の提出場所ですが、主に三点あります。一つ目は行方不明者の不明時の住所又は居所を管轄する警察署。二つ目は行方不明者が行方不明になった場所を管轄する警察署。三つ目が届出をされる人の住所もしくは居所を管轄する警察署です。

難しく考えず、交番でもいいので、問い合わせてみて下さい。案内してもらえます。

行方不明者届に必要な準備は

届出をするにあたって、必要な物があります。これも三つありますが当たり前の物ばかりです。一つ目は届出をする人の身分証明書。二つ目は印鑑。三つ目は家出人の写真です。家出人の写真が複数枚ある場合は持っていくとよいでしょう。できれば、別々の角度や全体と顔のみの写真などいろいろな種類がある方が望ましいです。

また、警察に赴いた際は、失踪時の様子を詳しく尋ねられたりしますので、情報を整理しておくことが大切です。

どのような事を尋ねられるのでしょうか?

まず、本籍・住所・氏名・生年月日等の行方不明者の人定に関すること。次に、身長・体重・髪型・血液型・身体の特徴に関すること。他には、行方不明になったときの服装や所持品等に関することや、行方不明となった日時場所や家出の原因動機等に関することなどです。

尋ねられたこと以外でも、家出人発見の為に参考になることがあれば警察に伝えましょう。

一般行方不明者と特異行方不明者の違い

行方不明者届を警察に届けると、家出人の情報を精査した後、警察は一般行方不明者と特異行方不明者の二つに分類します。

特異行方不明者とは、殺人や誘拐等の犯罪により、その生命または身体に危険が生じているおそれがある者。少年の福祉を害する犯罪にあうおそれあがある者。行方不明となる直前の行動その他の事情に照らして、水難、交通事故その他生命にかかわる事故に遭遇しているおそれがある者。遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺の恐れがある者。精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他事情に照らして、自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれがあるもの。病人、高齢者、年少者その他のものであって、自救能力がないことにより、その生命または身体に危険が生じるおそれがある者。

これに該当する行方不明者の場合が特異行方不明者に分類されます。特異行方不明者に該当する場合は、警察は積極的に捜査しなければならないと判断します。よくテレビなどで目にする大規模な警察の捜査は特異行方不明者に対しての捜査です。

一方、一般の行方不明者の場合には、警察官が日常で行う警ら、補導、取り締まりなどの警察活動を通じて行方不明者の発見に配意します。つまり、人命に関わらないと判断された場合には積極的な捜索が行われる事はありません。

警察が行方不明者を発見した場合は

家出人を発見したときは、捜索願い届出の有無に関係なく、個別の法律に基づいて必要な保護が行われます。 家出人捜索願い届出が出ていても、保護することができる要件に該当しないときは、家出人本人の意思に反してまでは保護してくれることはありません。

つまり、成人の場合の家出は本人が望まない限り、帰宅させる事は出来ないのです。

特異行方不明者や未成年者の場合は、保護され、連絡が行くようになっています。

失踪届とは

行方不明者届の解説をしてきましたが、似たようなものに、失踪届というものがあります。

これは、行方不明者を死亡者とする法律上の手続きです。もし、家出人が見つからないままだとすれば、既婚者の場合、残された配偶者は再婚できませんし、相続や借金の問題があります。

失踪届は、家出人が見つからなかった場合に法的な手続きを行うために市役所等に行う届出であり、失踪届が受理されると、家出人が法律上死亡したものとして扱われます。

しかし、失踪届はすぐに提出できるものではありません。

失踪届を提出するためには、家族等が家庭裁判所に請求し、失踪宣告を受ける必要があります。
失踪宣告の要件は、7年間生死が不明であることがポイントとなってきます。例外としては、災害や沈没などによる「危難失踪」の場合です。この場合は危難が去ってから1年経過した時が失踪届をだすことができます。

つまり、警察に家出人の保護をお願いしたい場合は「捜索願」を提出し、法的処理を検討するなら、失踪宣告を受けたあと「失踪届」を提出することとなります。

 まとめ

家出人が出た場合、色々な手続きや準備が必要です。一般の行方不明者の場合は警察は全力で捜索してくれることはありません。その為、探偵に依頼する人も多いと思いますが、家出人の情報を整理したり、集めたりしておくことは警察に行方不明者届を出すときだけではなく、探偵に依頼する際も役に立ちます。

また、探偵はアフターフォローや調査中もあなたのメンタルサポートも行ってくれますので、選択肢の一つに入れておくのも良いかもしれません。